LINEハーネス開発研修
── やさしい実践編
対象: はじめてセットアップマニュアルを終えた開発クルー(プログラミング経験は不要)
読む順番: ①基礎のおはなし → ②セットアップマニュアル → ③本書
運用スタッフ向けは「導入担当者研修」をどうぞ。
0-1この研修が終わるとできること
- AIの相棒(Claude Code)に、正しい順番で仕事を頼める
- お店の要望を聞いて、どこに作ればいいか判断できる
- 「友だち追加のあいさつ」を自分の手で動かせる(第3部の実習)
0-2先に安心してください
- 理由①: 本物を動かす鍵は、あなたのパソコンに入っていない
- 理由②: 完成品の置き場(原本)には、申請と自動チェックを通らないと1文字も書き込めない
- 失敗していいです。壊れるのはあなた専用の実験場(砂場)だけ
0-3最初に覚える言葉は2つだけ
| 言葉 | 意味 |
|---|---|
| AIの相棒(Claude Code) | あなたが日本語で頼むと、プログラムを書いてくれるAI |
| 砂場(サンドボックス) | あなた専用の実験場。何をどう壊しても誰にも迷惑がかからない |
ほかの言葉は、出てきたときにその場で説明します(まとめの一覧は巻末の付録にあります)。
AIの相棒への仕事の頼み方
どんな作業もたった1本の型で進みます。覚える合言葉は4つ、打つ場所は2種類だけ。
1-1結論: 作業はいつもこの型
どんな作業でも、流れはこの1本だけです。今日の実習もこの型どおりに進みます。
あなたが本物に反映する作業はありません。
1-2命令を打つ場所は2種類ある(ここ重要!)
この研修に出てくる「打つもの」は2種類あり、打つ場所が違います。
/ で始まる短い言葉、またはふつうの日本語 → Claude Codeの画面に打つ。例: /work「テストして」
pnpm で始まる英語の命令 → ターミナル(黒い文字の画面。セットアップマニュアルSTEP2で入れたもの)に打つ。例: pnpm test
pnpm test を実行して」と日本語で頼んでもOKです。AIが代わりに打ってくれます。1-34つの合言葉(Claude Codeの画面に打つ)
| 合言葉 | 意味 | いつ使う |
|---|---|---|
/work | 部屋の鍵を借りる | 作業を始める前(毎回・必須)。「どの部屋で作業するか」を宣言する |
/pr-check | 提出前の見直し | 申請を出す直前(毎回・必須) |
/issue | やることの登録 | 新しい作業を始めるとき |
/split-issue | 大きい仕事の小分け | 仕事が大きすぎるとき |
1-4なぜ安全なのか 読み物・覚えなくてOK
あなたのAIは、会社が用意した安全装備つきの作業服を着て起動します。準備は済んでいるので、あなたが設定することはありません。
- AIには最初から禁止されている操作がある: 本物への公開・原本への強引な書き込み・秘密の鍵の読み取り
- 見張り番が2人いる: ①鍵を借りた部屋の外への書き込みをその場で止める係 ②作業を再開したとき「どの部屋で作業中だったか」をAIに思い出させる係
なお、AIのルールブック(CLAUDE.mdなどのファイル)はフォルダに入っていますが、あなたが開いたり編集したりする必要はありません。存在を知っていればOK。
「業界別」と「取引先別」の作り分け
プログラムの3つの階層を知り、要望が来たら4つの引き出しのどれかに正しく仕分けられるようになります。
2-1プログラムは3つの階層でできている
コアは1回作ってみんなで使い回す土台です。良くなると全部が一斉に良くなる代わりに、壊すと全部壊れる——だから管理者しか触れません。あなたは「使うだけ」。
2-2事業が伸びると、こう増えていく
例: 車屋さん向けを始める → 業界別フォルダを1つ新設。「車検の365日後に自動お知らせ」など、車屋ならどこでも使う機能をここに作る。
例: 田中モータースと契約 → ほとんどの場合、フォルダは作らない。設定を書くだけで開通(8割はこれ)。特別な要望があるときだけ、取引先別フォルダを作る。
業界別に作った機能は、全取引先に自動で効く。1社ずつ作り直さない。
フォルダは手で作りません。自動で正しい形を作ってくれる呪文があります(打ち方は第3部で)。
2-3その「設定」って何? 実物はこれ
さっきから出てくる「設定」の正体は、ただの書き換え表です。実物の一部:
あいさつの文言: "ようこそ!ご来店お待ちしています" ← この右側を書き換えるだけ
自動お知らせ: 365日後
予約の1枠: 30分
プログラムを書かなくても、この表の右側を変えるだけでお店ごとの違いを作れます。これが「8割は設定で済む」の意味です。
システム上の正式名は「テナント設定」=お店ごとの設定のこと。
2-4一番大事なスライド: 要望が来たら4つの引き出し
取引先から「こうしてほしい」と言われたら、上から順に考えます。
→ 【設定】の書き換えだけ。プログラム不要(8割はこれ)
→ 【取引先別フォルダ】に書く
→ 【業界別フォルダ】に書く
→ 自分で作らない。【管理者に相談】して手を止める
2-5引き出しを間違えると、こうなる(NG例で覚える)
| NG例 | 何が起きる |
|---|---|
| コア(土台)に「美容室」と書く | 自動チェックが止める |
| 業界別フォルダに「田中モータース」と書く | 自動チェックが止める(取引先別フォルダ行き) |
| 1社の都合で土台を変えようとする | 変えずに管理者へ相談が正解 |
| 同じ機能を2つの業界にコピペする | コピーせず「土台に入れませんか」と管理者へ提案が正解 |
2-6センサー: 「〜が起きたら、こうする」
業界別・取引先別に書く機能のほとんどは、この形をしています。
→ あいさつを送る
→ 営業時間を答える
この「〜したら」の部分をセンサーと呼びます(正式名は「フック」ですが、覚えなくてOK)。
- 今日の実習で使うセンサーは「友だち追加されたら」の1個だけ
- 他にもいろいろありますが、英語名を覚える必要はありません。AIに「友だち追加されたら〜して」と日本語で言えば、AIが正しいセンサーを選びます
- どんな種類があるかは、巻末付録の「センサーカタログ」を眺めるだけでOK(⚠️中には「まだ使えないセンサー」も5個あります。詳しくは付録で)
2-7業界別と取引先別は、どういう順で動く?
同じ「友だち追加」が起きると、「業界別 → 取引先別」の順で両方動きます。
(その業界の全店共通)自動
(その1社だけ)自動
実習のSTEP5で実際に体感します。
実習 ──
「友だち追加あいさつ」を作ろう
ここからは手を動かす時間です。全7ステップ・約2時間で、友だち追加すると、あいさつが届く仕組みを作ります。
3-1今日作るもの(全7ステップ・約2時間)
友だち追加すると、あいさつが届く仕組みを3段階で作ります。自分のスマホで、テスト用LINEをブロック→再追加するだけで何度でも確認できます。
| 段 | 作るもの | 対応ステップ |
|---|---|---|
| 基本 | 業界別: 友だち追加であいさつ+「あいさつ済み」の名札を付ける | STEP3〜4 |
| 応用 | 取引先別: 1社だけ、あいさつにもう一言追加 | STEP5 |
| 発展 | あいさつの文言を「設定」に引っ越す | STEP6 |
3-2始める前のチェック
実習を始める前に、次の3つがそろっているか確認しましょう。
STEP 1やることを登録する(5分)
Claude Codeの画面に、そのまま打ちます。
/issue で「実習: 友だち追加あいさつ」を登録して、作業用の自分用コピー(ブランチといいます)を作ってください
STEP 2練習用の業界を作り、部屋の鍵を借りる(5分)
まず、ターミナル(黒い画面)に呪文を打ちます。
pnpm new:vertical training-yamada
training-yamadaの部分は自分の名字に変える。使えるのは半角の英小文字とハイフンだけ(日本語・スペースは不可)- ターミナルが不安なら、Claude Codeに「pnpm new:vertical training-yamada を実行して」と日本語で頼んでもOK
次に、Claude Codeの画面に合言葉:
/work vertical training-yamada
これで「training-yamadaの部屋」の鍵を借りました。以降この部屋の外には書き込めない=安心して雑に頼めます。
STEP 3AIに作ってもらう(30分)
次の頼み方を、そのままClaude Codeに打ってください。
verticals/_example/ をお手本に、verticals/training-yamada/ に「友だち追加されたら『ようこそ!【研修】山田のテスト業界です』と送って、greeted という名札(タグ)を付ける」機能を作ってください。お手本と同じようにテストも書いて、pnpm test で全部通ることを確認してください。
あなたの仕事はプログラムを書くことではありません。「何を送るか・どの名札を付けるか」を日本語で伝え、お手本(_example)を指さすことです。
STEP 4自分のスマホで確認する(30分)
- 砂場に並べる(デプロイ): セットアップマニュアルSTEP4で1回やったのと同じ呪文を、もう一度ターミナルに打つだけです(呪文を忘れたらマニュアルSTEP4を見る)。※この呪文はAIには打てない決まり(安全装置)なので、ここだけは自分で打ちます
- スマホで確認: テスト用LINEをいったんブロック → もう一度友だち追加
- 成功の見分け方: あいさつが届く + 砂場の管理画面(セットアップマニュアルSTEP4でログインしたもの)を開き、友だち一覧 → 自分 → 名札の欄に
greetedがあれば成功!
STEP 5取引先別を上乗せする(20分)
ターミナルに呪文(またはAIに日本語で依頼):
pnpm new:client training-yamada demo-store
続けてClaude Codeに:
clients/demo-store/ に「友だち追加されたら『(demo-store限定: 初回クーポンを後日お送りします)』と一言追加で送る」機能を作って、テストも書いてください。
もう一度デプロイして、ブロック→再追加。あいさつが2通(業界別→取引先別の順)届けば成功。第2部2-7の実物です。
STEP 6文言を「設定」に引っ越す(20分・発展)
Claude Codeに:
あいさつの文言をプログラムに直接書くのをやめて、お店ごとの設定から読むように直してください。標準の文言は業界の初期設定に置いてください。
これで文言の変更が「プログラム修正」ではなく「設定の書き換えだけ」になりました。引き出し❶に自分で持っていけたら、もう一人前の入口です。
STEP 7提出する(10分)
- Claude Codeに合言葉
/pr-check(提出前の見直し) - 全部合格したら「申請(PR)を出して」と頼む
- 「申請のAI検査コメントを見せて」と頼んで、内容を眺める
- 今回は練習なので、最後に「この申請を閉じて」と頼んで終了(原本には反映しません)
3-4卒業チェックリスト
付録
── 困ったらここに戻る
言葉の一覧・呪文の早見表・センサーカタログ・困ったときの2ステップ。覚えなくてOK、必要なときに開くだけです。
A-1言葉とたとえの一覧(前半)
| 言葉 | たとえ | 意味 |
|---|---|---|
| リポジトリ(GitHub) | 会社の共有図書館 | プログラムの保管場所。全員の作業履歴が残る |
| main(メイン) | 図書館の「原本」 | 完成品の置き場。直接は書き込めない |
| ブランチ | 原本の「自分用コピー」 | コピーに書き込んで作業する。原本は汚れない |
| 申請(PR) | 「原本に反映してください」の申請書 | 出すと自動でチェックされる |
| 自動検品ロボット | 図書館の入口の検査機 | 申請を出すと自動で動くチェック係。ルール違反やテスト失敗があると原本に入れない |
| 砂場(サンドボックス) | 自分専用の実験場 | 何をどう壊しても誰にも迷惑がかからない |
困ったらこの一覧に戻る。次のページに続きます。
A-1言葉とたとえの一覧(後半)
| 言葉 | たとえ | 意味 |
|---|---|---|
| デプロイ | 「砂場に並べる」 | 作ったものを実際に動く状態にすること |
| ターミナル | 黒い文字の画面 | pnpm などの呪文を打つ場所 |
| センサー(正式名: フック) | ドアのセンサー | 「〜が起きたら、こうする」の「〜したら」の部分 |
| 設定(正式名: テナント設定) | お店ごとの書き換え表 | 文言・日数などを書き換えるだけでお店ごとの違いを作れる |
| ログ | 機械の作業日誌 | 機械が自動でつけている記録。不具合調査に使う |
A-2呪文・合言葉の早見表
■ ターミナル(黒い画面)に打つ呪文
pnpm new:vertical <業界> # 業界別フォルダを新設
pnpm new:client <業界> <取引先> # 取引先別フォルダを新設
pnpm test # テスト(検品)を全部回す
■ Claude Codeの画面に打つ合言葉
/work vertical <業界> # 業界の部屋の鍵を借りる
/work client <取引先のID> # 取引先の部屋の鍵を借りる(IDは取引先ごとの識別番号)
/pr-check # 提出前の見直し
/issue # やることの登録
/split-issue <番号> # 大きい仕事の小分け
< >は「ここを自分の値に置き換える」という印で、実際には入力しません- 名前に使えるのは半角の英小文字とハイフンのみ(例:
training-yamada。日本語・スペース不可) - どの呪文も、Claude Codeに「〇〇を実行して」と日本語で頼んでOK
A-3いま使えるセンサー(6個) 覚えなくてよい・眺めるだけ
| センサー(英語の正式名) | いつ反応する |
|---|---|
| onFollow | 友だち追加されたとき ← 実習で使ったのはこれ |
| onMessage | メッセージが届いたとき |
| onBookingConfirmed | 予約が確定したとき |
| onTagChange | お客さんの名札(タグ)が変わったとき |
| onScoreThreshold | お客さんの点数が基準を超えたとき |
| onConversion | 成約・購入があったとき |
英語名を覚える必要はありません。AIに「友だち追加されたら〜して」と日本語で言えばOK。
A-3⚠️ まだ使えないセンサー(5個・名前はあるが反応しない)
| センサー | 本来の意味 |
|---|---|
| onPostback | ボタンが押されたとき |
| onFormSubmit | フォームが送信されたとき |
| onBookingCanceled | 予約がキャンセルされたとき |
| onReminderDue | 自動お知らせの時刻が来たとき |
| onScheduledBroadcastBefore | 予約配信の直前 |
A-4困ったときの2ステップ
- エラーや不具合 → まずAIに画面のエラーを全部貼って「原因を調べて直して」と頼む
- 判断に迷う(土台を触りたい・要望がどの引き出しか分からない) → 管理者へ相談
修了クイズ
── 6問中5問(80%)で合格
研修の内容から全6問。選択肢をクリックすると、その場で正解・解説が出ます。間違えても大丈夫、付録に戻って確認しましょう。
Qクイズ 1・2
pnpm new:vertical などの「pnpmの呪文」はどこに打つ?< >(例: pnpm new:vertical <業界>)の意味は?< > は「ここを自分の値に置き換える」という印で、実際には入力しません。名前に使えるのは半角の英小文字とハイフンのみ(例: training-yamada)。正解数: 0 / 0
Qクイズ 3・4
正解数: 0 / 0
Qクイズ 5・6
/pr-check(提出前の見直し)です。全部合格したら「申請(PR)を出して」と頼み、AIの検査コメントを眺めます。正解数: 0 / 0 ── 全6問の80%(5問)以上で合格です。
おつかれさまでした!
「鍵を借りる → 作る → テスト → スマホで確認 → 見直し → 申請」——今日の流れが、そのまま実務の流れです。困ったら付録に戻る。迷ったら管理者に相談。それ以外の失敗は、全部やり直せます。
言葉一覧と呪文早見表は、実務中に何度でも開いてOK
練習専用の業界で慣れたら、担当業界の要望を「4つの引き出し」で受けてみる